ウィーンのカフェ文化


ウィーンはカフェに囲まれた街。19世紀末ウィーンのカフェには多くの芸術家たちが集い、ウィーンのカフェは第二の我が家として使われていました。コーヒー1杯で何時間でもゆっくりすることが許されるのはウィーンならでは。コーヒーの種類も10種類以上ある店がほとんどで、ほとんどのメニューはカフェインレスに変えてもらうことが可能。ウィーンのカフェはBGMがなく、静かで落ち着いた空間の中、美味しいケーキを堪能したり、パソコンで仕事をしたり、ゆっくりと新聞を読むことができます。


ラントマン


1873年に開店した、街のシンボル的なカフェ。カフェとは思えない程の大きさがあり、トラムから見てもとても目立つため、なんだここは、いつか行きたいと思わせる独特の雰囲気を持っている。テラスもとても広くて賑わっているが、おすすめなのは何といってもクラシックな店内。グレート・ギャッツビーの映画のように、大きな窓から時折風が吹き抜けて、レースのカーテンがふわりと揺れるのがとても美しい。シュテファン大聖堂など、市の中心部からはだいぶ離れているため、観光客は少なく、地元の人たちに愛されていてとても心地よい雰囲気。どのテーブルにも真っ白なテーブルクロスがかかっており高級感があるが、食事だけでなくコーヒーやお菓子を注文しても大丈夫。あまりに美しくて立ち去れない、素晴らしい空間。絶品のケーキとコーヒーで14€程度。

 

Landtmann

住所:Universitatsring 4, A-1010, Wien


プリュッケル


ウィーン・ミッテ駅近く、応用美術館の向いにある居心地の良いカフェ。他の伝統的なカフェとは違い、よりカジュアルで応用美術大学の学生やパソコンで仕事をしに来る人にも愛されている。1904年にオープンし、1955年に大改装。それからずっと今の内装が続いている。大きな円形のシャンデリア、もたれると心地よくなって立ち上がれない薄緑色の肘掛け椅子、窓際のウィーンらしい雰囲気や、広々とした空間の開放感は20年前とちっとも変わらない。他のどんなカフェとも違い、モダンで、ちょっとけだるい雰囲気が心地よい。価格も他の有名店よりリーズナブル。ただしクレジットカードは使えない。ケーキは10種類ほどあり、どれも甘さは控えめ。アプフェルシュトゥルーデルはりんごたっぷり、甘さ控えめでシナモンのアクセントが心地よい。店内奥には、アール・ヌーヴォー調の内装が美しい空間もあるので一見の価値あり。

 

Prückel

住所:Stubenring 24, 1010 Wien

 


シュペルル


一歩店内に足を踏み入れると、その独特の雰囲気と静けさに思わず息を呑むシュペルル。1880年に創業され、建築家や芸術家、音楽家や軍の高官たちの第二の家になっていたという。また、常連の中にはヨーゼフ・ホフマンはじめ、ウィーン分離派の創始者もいた。シュペルルはウィーンのカフェならではの歴史の重みが感じられる。ケーキは手作りで7種類ほどあり、見た目はボリュームたっぷりだけれど、実際には軽やかで甘さ控えめ。ザッハートルテはふわふわで少し甘酸っぱく、チョコレートも重たくありません。杏のタルトも甘酸っぱさが疲れを吹き飛ばしてくれます。どれもおばあちゃんの作る家庭的なお菓子といった雰囲気。コーヒーや紅茶も4€前後と、他の老舗に比べてリーズナブル。この店は窓際だけでなく、壁際にもボックス席がつくられており、背後を囲われて安心しながら親密な時を過ごしていられる。店内にはビリヤード台と数多くの新聞がある。ベートーベンフリーズで有名な分離派会館から歩いて行ける距離。ウィーンに来たらぜひ一度は訪れたいカフェ。

 

Sperl

Gumpendorfer Strabe 11 A-1060 Wien


シュバルツェンベルク


ウィーンのリング沿いに建てられた最初のカフェで、1861年にオープンした老舗。大理石のテーブルと重厚感あるインテリアが高級感を醸し出している。コーヒーもとても美味しく、カフェインレスにすることも可能。コーヒーのアレンジメニューは15種類くらいある。ヘーゼルナッツとバタークリームのケーキ、エステルハーズィー・トルテや、クルミをふんだんに使ったケーキは絶品。ウィーンらしい窓際のコンパートメント風の席がとても心地よい。インペリアルホテルの向い。

 

Schwarzenberg

Krntner Ring 17, 1010 Wien


カフェ・ツェントラール


1876年創業の、19世紀末のウィーンの芸術家たちが集った老舗カフェ。宮殿のように美しい店内には、ウィーンが誇るトーネットの曲木椅子がふんだんに使われており、曲木のコート掛けもそこかしこに。どっしりとして存在感ある柱は豪華な大理石。天井はとても高く、カフェとは思えない雰囲気だ。ウィーンのカフェに特徴的な、窓際のコンパートメントのような席も少しある。照明はほどよい明るさで、夜に来てもここちよい。

ドリンクはメランジェやココアなどが5.8€。アップルシュトーデルはわりと甘さ控えめで、酸味の効いたりんごがこれでもか、というくらいたっぷり入っている。他にも色とりどりでしっかりとした甘さのウィーン菓子がショーケースに並んでいる。ウィーンに来たら一度は訪れてみたい老舗カフェ。拙著『カフェから時代は創られる』にも登場します。「あれやこれやと悩みがつきないなら、カフェに行くことさ!」といったのはツェントラールに通った詩人のペーター・アルテンベルグ。入り口にはペーターの人形があります。

 

Café Central 

Herrengasse 14, 1010 Wien